漢方的な考え方

水毒

最近電車に乗って気になることがあります。

それは若者がペットボトルを持って何気なく飲んでいること。彼らは本当に喉が渇いているのでしょうか。京都までわずか三十分、しかも冷房が入っています。おまけに薄着、背中を出している女性もいます。それだから暑くて汗をかくということもなさそうです。テレビのCМの影響じゃないかと思ったりします。

昔の山陰線。蒸気機関車が走っていた頃は、夏の通勤・通学は暑くて大変でした。所要時間は京都まで四十五分~一時間(単線だったので待ち合わせの加減でバラツキがあった)。保津峡に差し掛かるとそこからトンネルが続きます。煙が入らないように、窓を閉めに回ったものです。今の若い人には想像できない姿です。それでも列車の中で別に水を飲まなくても平気でした。どうも最近の若者は水分摂取が必要以上に多過ぎるような気がします。

水分摂取が多すぎるとやはり体が重だるくなります。体も湿気た状態になります。梅雨の時期、誰でも気分が乗らないのですが、水分摂取が多すぎると常にこのような状態になってしまいます。それだからなんとなく覇気がない・・・。朝が起きにくく、機嫌が悪い・・・。昼頃になってようやく調子が出てくる・・・。夜になると本調子になって、十二時過ぎても平気・・・。どうしても夜更かしする・・・。それだから、ますます朝が起きられない・・・。こうした悪循環を起こしてしまいます。

一方、中年も大量の水分摂取をする時があります。ビアガーデンに行くと勢いで大ジョッキを二~三杯飲んでしまう・・・。相当な量である・・・。といって尿が十分出ているかというとそれ程でもない・・・。こういった時は翌日は鼻が詰まったり、顔が腫れぼったかったり、少し歩いただけで息切れしたりします。水が停滞しているのです。

お坊さんの場合はどうでしょうか。お盆の檀家回りでは、各家々でお茶やコーヒーが出されます。お念仏で喉が渇くから、丁度良いのでしょうか。いや、五軒目、六軒目ぐらいになるとさすがに胃がチャポチャポするのではないでしょうか。クーラー→炎天下→クーラーの繰り返しは体の調節が利かなくなります。夏風邪を引いたり、胃腸を壊したり、足がだるくなることもあるのではないでしょうか。

このような水分の出し入れが悪い状態を、漢方では「水毒」といいます。畑でもそうだと思うのですが、集中豪雨もダメ、日照り続きもダメ、適度なお湿りが必要です。人間の体も同様です。

こういったとき、夏の健康を保つお薬として 『清暑益気湯』 があります。疲れて眠たくなったり、集中力がなくなった時、これを飲むとしゃきっとします。暑さを清ます・・・とは正にそのものずばりの名前ですね。『五苓散』 は尿が気持ちよく出て身軽くなります。二日酔いにも欠かせません。『カッ香正気散』 は消化機能がすばやく回復します。いずれも夏の健康に欠かせない漢方薬です。

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