漢方的な考え方

五行説

東洋の考え方に五行というのがあります。
いろんな世の中の事象が木・火・土・金・水の五つの要素で成り立っていると考えます。こういわれてもあまりピンとこないのですが、私達の生活の身近なところでもこの考え方は使われています。

お寺で施餓鬼の行事があります。その時、幔幕が掛かっています。それが五色になっているのをご存知でしょうか?緑、赤、黄、白、黒の五色のストライプになっているはずです。

臓器も肝、心、脾、肺、腎の五つに分けて考えます。また、それを補う五腑もあります。これも胆・小腸・胃・大腸・膀胱の五つに分けて考えます。こうした五つの要素がお互いにバランスを取りながら私達の健康を維持しているのです。

季節も五つに分かれています。春・夏・秋・冬それに土用の五つです。一年の健康状態を振り返ってみると人それぞれ特徴があります。

  • 毎年、春になると、『やる気がおきない』 『朝が起きにくい』 と調子が悪い人花粉症になる人も多くみられます。
  • 夏になるとバテやすい、息切れを起こしやすいと体力低下をきたす人がいます。暑すぎて判断力が鈍る事もあります。 
  • 夏の土用になると胃腸が弱って食欲が落ちる人もいます。
  • 秋になって涼しくなると咳が止まらない人、神経痛や古傷が痛む人が増えてきます。
  • 冬になって気温が低下すると、手が荒れてカサカサになったり、血流が悪くなる人が多くなります。また、おしっこが近くなる人が増えてきます。

このように季節々々に出やすい症状があります。そんな時、五行の理論を把握しておくと季節ごとに弱りやすい臓器、起こりやすい症状というのがよりはっきりと分かり、早めに予防することができます

  • 例えば四月の定期の人事異動で職場が変わった。私は環境に慣れるのが遅いタイプ。何年か前も五月に体調を崩してしまった。このように、どうも春は調子が悪い。今年 はストレスに効く【抑肝散加芍薬黄連】を飲んでコンディションを整えておこう!
  • 私は毎年夏の土用になると食欲が落ちて体重が減少する。早めに消化吸収機能をアップする【清暑益気湯】を飲んで予防しておこう!
  • 私は秋になると喘息が出る。気管支を丈夫にしておく【柴朴湯】を飲んでおこう!
  • 私は冬になると夜間にトイレに1~2回起きるので熟睡できない。【八味丸】を飲んで少しでも夜間尿の回数を減らしたい。

とそれぞれ対策を練ることができます。このように五行説を応用して養生を重ねることによって病気を未然に防ぐことができます。

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